沈黙する記憶
☆☆☆

あたしが杏から受け取った最後のメールを見ると、克矢も由花もさやも、みんな驚きを隠せない様子だった。


「まさか、妊娠してたなんて」


さやが不安そうにそう言った。


「杏はこの後夏男に会いに行ったのか?」


「いや、夏男は杏には会ってないと言っている」


克矢の質問に、裕斗が答えた。


「そんなのウソをついているだけかもしれないでしょ?」


由花が強い口調でそう言った。


やっぱり、話を聞いただけだとみんな夏男を怪しいと思っているようだ。


あたしも最初はそう思っていた。


「本当の事を言っていると思う」


あたしは由花にそう言った。


「なんで?」


「ここ最近、夏男はずっと寝ずに杏を探してる。演技ではできないくらいやつれてるんだよ」


あたしがそう言うと、由花は夏男の姿を思い出すように目を閉じた。


そしてパッと目を開ける。


「確かに、そうかもしれないね」
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