沈黙する記憶
警察署
普段来ることのない警察署に呼ばれあたしは少しだけ緊張していた。


「どこに行けばいいんだ?」


こういう場所は裕斗も馴れていないのか、キョロキョロと周囲を見回している。


その時だった、奥の方から夏男が出て来るのが見えた。


到着する少し前に連絡を入れて置いたのだ。


夏男の目は少しだけ赤くなっているのがわかった。


杏らしき人の姿を見て、泣いていたのかもしてない。


「みんな、呼び出してごめん」


「何言ってるのよ。みんなで協力するのは当然でしょ」


由花が少し怒ったようにそう言った。


そんな由花に夏男は少しだけ笑顔を浮かべた。


「ありがとう」


そしてあたしたちは夏男について、奥の部屋へと移動したのだった。
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