浮気の定理
「清水さん、大丈夫?」



ぼんやりしている私に、そう声をかけてくれたのは、副店長の飯島さん。



パートの菊地さんは飯島くんと呼ぶけど、一応年上であるということで、私はさん付けで呼んでいる。



「あ、はい!すみません!」



慌ててまた、持っていたハンディモップをせっせと動かす。



今のところ自分に与えられている仕事はDVDのパッケージを拭いていくことだ。



「いや、あの、もしかして一番上の棚、届かないんじゃないかと思って」



サボっているのを見つかったのかと思いきや、そうではなかったらしい。



またこの人はこうやって私をちゃんと女の子扱いしてくれる。
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