浮気の定理
夫とのギャップに嬉しさを隠せない。



きっと今だって顔が緩んじゃってる。



あぁ、私はこんなに女性扱いされることに飢えてたんだ、と思う瞬間だ。



「ありがとうございます。でも脚立があるので大丈夫ですよ?やれますから」



けれど悲しいかな、可愛らしくお願いすることの出来ない性分なのだ。




飯島さんは私にだけ優しい訳じゃない。



何人かいるパートさんやアルバイトの女の子、全員に平等に優しい。



だから他の子が、ありがとうございますぅなんて、黄色い声で手伝ってもらうのを見ると羨ましくもある。
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