浮気の定理
夫ならばまだいい。



産む選択をすることだって出来るのだから…



だけど、そうじゃない場合の選択肢は一つしかない。



しかも私は、それを誤魔化すために和也にも避妊しないよう促した。



もし、妊娠してもあなたの子だと言い訳できるように。



誰か他の存在がいることを悟られないように。



――最低だ、わたし……



だったらきちんと避妊すべきだった。



彼に言えなかった私への罰。



あの時……



私は彼に溺れた。



あの人の指が、肌が、唇が……



すべてが愛しくて、受け入れたくなった。
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