浮気の定理
あの瞬間――



どうなってもいいって思ったのは確かだ。



触れられるたび、夫と比べてた。



独りよがりじゃなく肌を合わせることが、こんなにも幸せだなんて知らなかった。



彼は私に狂おしいほどの快感と安らぎを教えてくれた。



彼との時間があったからこそ、家庭も大事に出来たのかもしれない。



以前より、夫にも子供にも優しく接することが出来るようになったのは。



今まで渇いていた心を彼が潤してくれたから……



けれどたった一度だけの夢のような時間は、夢だけでは終わらなかった。
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