浮気の定理
ね?ありさ?と桃子はありさに同意を求めた。



きっと一番結婚歴が長いありさにも、長い結婚生活の中で、ずっと順風満帆なんてことはないんだと言ってほしかったのかもしれない。



「そうだね……、新婚の頃みたいにずっといられるわけじゃないしね?」



ありさがそう答えれば、桃子は味方を得たとばかりに真由に反撃する。



「ほらね?だから真由にはわかんないよ……まだ結婚すらしてないんだから……」



真由は一瞬不満そうな顔をしたけれど、すぐにそうかもね?と言って笑った。



それが素直すぎて、少し気持ち悪いと思ったのは涼子だけだろうか?



いつもは空気を読まない真由の、珍しく空気を読んだ瞬間だった。
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