浮気の定理
「いいの?」



涼子がマフラーでくぐもった声を出すと、桃子は笑顔で頷く。



「実はもう目をつけてる映画があるんだよね~」



ヘヘッといたずらっ子みたいな笑みを浮かべて桃子はそう言った。



「そっか、じゃあ楽しみにしてるね?

桃子のオススメは割と感動系が多いから、ハンカチ多めにもってかなくちゃ!」



ありさも黒のダウンコートに手を突っ込みながら場を盛り上げる。



一人真由だけが、あれからおとなしすぎるくらいおとなしかった。



なにか考え事をするような、そんな素振りで……
< 143 / 730 >

この作品をシェア

pagetop