浮気の定理
「真由?」



涼子がそう声をかけると、ハッとしたようにこちらを見る。



「あ……ごめん!聞いてなかった……あははっ」



「来月は桃子がとっておきのオススメがあるんだってさ」



涼子がそう補足して伝えると、真由はようやくいつもの調子を取り戻して桃子の腕に絡みついた。



え~ほんと?楽しみぃ!なんて言いながら、キャメル色をしたポンチョ風のコートを翻す。



あごの辺りまできれいに切り揃えられたボブの髪が、桃子の腕にまとわりついた。



4人の中で一番背の低い真由は、顔も幼いからなんだか桃子の妹みたいに見える。
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