浮気の定理
部屋に入るといつもの大きめなダブルベッドが見えた。



ベージュとブラウンを貴重とした、落ち着いた雰囲気の部屋。



ベッドサイドには間接照明が、柔らかい光を放っている。



高層階の窓からは、都会のネオンがキラキラと輝いていた。



彼が我慢できないというように、私を正面から抱き締める。



「真由……」



そう名前を呼ぶ、掠れた切なそうな彼の声が、私は好きだった。



壊れ物を扱うように私の顔に両手を添えて、そっと口づける。



だんだん深くなる吐息とともに、私たちは窓際に移動していった。
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