浮気の定理
「ねぇ……」



「ん?」



「あとどのくらい、いられるの?」



「ん~、そうだな……あと一時間くらいかな?」



時計を覗きながら彼はそう言った。



今、時計は10時を少し過ぎた辺りを指してる。



11時過ぎには帰るということなんだろう。



きっと、終電に間に合わせるつもりだ。



「あたし、泊まっていってもいい?こっからのが職場近いし」



まだ実家暮らしの私は、あまり遅くなると父親がうるさい。



だったら泊まってしまえと思うのと、体もだるくて帰る気にならないというのが本音だ。
< 159 / 730 >

この作品をシェア

pagetop