浮気の定理
先輩の娘という立場を利用して、何度も食事に誘った。



断れないと思ったのか、何回目かの誘いに、彼はようやく首を縦に振る。



大人の男性というだけあって、素敵な店もたくさん知っていて……



自分の父親を軽蔑していた分、彼に父親を重ねた。



こんなに真面目で実直な男性でも、若い娘に言い寄られれば落ちるんだろうか?という興味。



何度目かの食事のあと、帰り際に隙をついて彼の唇を奪う。



ビックリした彼は、咄嗟に私をグイッと押し戻して。



「何してるの!真由ちゃん!」



そう真っ赤な顔で私をたしなめた。
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