浮気の定理
あっけなく落ちた愚直なこの男を見ながら、父親を思う。



あぁ、なんだ……



男なんて結局はそうなんだ。



こんな真面目で家庭第一って顔をした男でも、少し餌をまいてやれば、ほいほい引っかかる。



だったら、ちゃらんぽらんで、昔はさぞいい男だったんだろう容姿の私の父なんて、遊びたい放題だったのかもしれない。



そう思ったら可笑しくなった。



家庭を顧みずに浮気を繰り返す父に、愛想をつかして出ていった母。



思春期の真っ最中だった私を置いて、母は一人で出ていった。
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