浮気の定理
真由の場合②
私がまだ高校生だった頃――



もうすでに父を軽蔑していたし、人生なんかって冷めてたように思う。



だけど体も小さく幼い顔立ちだった私は、友達からも先生からも妹みたいに扱われることが多かった。



本当はいつも冷静で客観的に物事を見てるくせに、学校では甘えん坊でお茶目なイメージを崩しちゃいけないような気がしてた。



誰からも可愛がられるマスコット的な存在。



私はこの頃から他人の前で演技をする癖がついたのかもしれない。



きっと、28歳になった今でも、私の本性を知るものはいないと思う。



そう、父親でさえも……
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