浮気の定理
桃子に一番近いのは自分だって思ってた。



だから何かあれば一番に相談してくれると思ってたのに……



どんどん痩せていく桃子を、ただ見ていることしか出来ない自分が歯痒かった。



ありさも涼子も心配はしているだろうけど、所詮他人の家庭の出来事だ。



口では心配している素振りも出来るだろうけど、家に帰れば子供や夫の世話で忘れてしまうに決まってる。



桃子を救ってあげられるのは、煩わしいものも縛られることもない、私だけ。



あの日、出ていった母のような目に遭わせている、桃子の夫を絶対に許せない。
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