浮気の定理
いつもの……



私はこの言葉が好きだ。



不安定な家庭に育ったせいかもしれない。



母が出ていき、いつもの日常は、いつものものではなくなった。



父だって、いつ私を置いていなくなるかもしれない。



そんな恐怖と戦いながら、父を軽蔑しながらも、捨てられないように必死にいい子を演じた。



だから桃子たちと集まるいつもの定例会も、私の中では安心できる行事のひとつだ。



それに絶対に失いたくないものでもある。
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