浮気の定理
「だから、カマかけてみるのよ

木下にしたこと知ってんだぞ、とか?」



低い声色で、山本の真似をしながらそう言うと、彼は小さく息を吐いた。



「……わかった

うまくいくかわかんないけど、やってみるよ

で?それを真由ちゃんに報告すればいいわけ?」



「そ!出来れば水落の住所と電話番号も調べて教えてほしいんだけど」



「ちょっ!待ってよ!なにする気?真由ちゃん」



私はニヤッと笑って、彼に言った。



「もしものためよ?最後の手段だから、気にしないで?」
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