浮気の定理
ゆっくりと開かれたその口からは、信じられないような事実。



俯きながら一気に話し終えると、ありさはようやく顔をあげて私たちの顔を一人ずつ見回した。



そしてわかって欲しいとでもいうように、悲しげな瞳で微笑む。



それでも、流産したんだと告げたありさは、思ったよりも落ち着いてるように見えた。



誰にも何も言わせないようについた、ありさの嘘。



瞬時にそう思った。



きっとみんなも同じ気持ちだったと思う。



どちらにしても、赤ちゃんがこの世に生まれてこなかったことには違いないわけで……



私はやりきれない気持ちでいっぱいになった。
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