浮気の定理


――どこで間違っちゃったんだろう?



5年前プロポーズされた時にはこんな風になるなんて考えられないことだった。



結婚した当初は、誰もが羨むくらい仲が良かったと、自分でも思う。



けれど一年前の出来事が、雅人をこんな風にしてしまった。



あの頃の私は、雅人は何があっても私を愛してくれるって信じてた。



だけどそれは大きな間違いで、彼はあっけなく私に背を向けてしまった。



話し合いも持ってくれず、私の意見は聞いてもくれない。



何度も夜、彼のベッドに忍び込んでも迷惑がられるだけだった。



もう私の全部が汚らわしいと思ってるのかもしれない。
< 21 / 730 >

この作品をシェア

pagetop