浮気の定理
「でも、すごく美味しそう!」



思わずコクリと喉を鳴らす。



「ね?びっくりでしょ?驚かせたくて連れてきたんだぁ」



まんまとみんなが驚いたことに、気をよくした桃子がそう言って笑う。



心なしか少しだけふっくらしたように見える頬に赤みが指す。



雅人と仲直り出来たんだろうか?と、涼子は心の中でそっと思った。



みんなで一種類しかないランチメニューを注文すると、おしぼりで手を拭く。



先に出された緑茶に口をつけると、寒さでかじかんだ体がじんわり温まっていくのがわかった。
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