浮気の定理
「最近ね?雅人が優しいんだ……」



ポツリと呟いた桃子の言葉に、みんなが注目する。



「良かったじゃない?」



隣に座るありさが、桃子の肩を優しく抱きながらそう言った。



「じゃあもう心配ないね?」



若い店員と浮気しているかもしれないということも含めて涼子がそう口を挟む。



けれど真由だけが少し不満気な顔をして、その様子を黙ってじっと眺めていた。



本来なら一番に喜んであげるだろう真由に、涼子は違和感を覚える。



真由は昔からあまり雅人を好ましく思っていなかった。
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