浮気の定理
続けて髪を後ろに力一杯引っ張られる。



顔を上げさせた状態で、彼は私の唇を奪った。



そのまま、拳で腹部を殴る。



息をしようにも唇は塞がれ、呼吸が出来ない。



毎回、このお仕置きがあるたびに、私は死ぬんじゃないかと思う。



その証拠に酸素の行き渡らない私の体はしびれ始めてる。



意識を失いかけた時、ようやく塞がれていた唇は、離れていった。



「ヒュー……ケホッケホッ……ハァハァハァ……」



喉を押さえて貪るように空気を吸い込む。



目には涙が溢れていた。
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