浮気の定理
だから軽い気持ちで帰りが遅くなった時も、そんなに怒るなんて思ってなくて……



マンションの部屋に戻った時の冷たい笑みが忘れられない。



低くよく響く声で、なんで遅くなったんだと彼は聞いた。



私は実家に行ってたことを告げて、すぐに謝ったけれど、彼は許してはくれなかった。



腕を掴まれ捻られ、痛いと訴えれば腹部に拳が沈む。



泣き叫びながら許しを乞うたけど、それは彼の暴力を加速させるだけだった。



不思議と彼は首から上には危害を与えず、体にだけ罰を与える。
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