浮気の定理
だけど、返信してみてから気づいた。



桃子に相談されたときも、確か私はそう言った。



勘違いなんじゃないのかとも……



結果的に私は桃子を救ってあげるどころか、かえって相談しづらくさせてしまったのかもしれない。



せっかく相談してくれたというのに、私の無神経な言葉が彼女を追い詰めたんだとしたら……



また同じことを繰り返したくないという思いが自分の中に芽生える。



あの桃子から電話があった夜、ちょうど夫の勇が花を寝かしつけているところだった。



私はお風呂から上がったばかりで、慌てて電話に出たのを覚えてる。
< 272 / 730 >

この作品をシェア

pagetop