浮気の定理
女4人が集まれば⑤



ちょうど春の嵐が吹き荒れる風の強い平日。



4人は髪がぐしゃぐしゃになるのを必死に押さえながら足早にビルの中へと入っていった。



寒さは幾分和らいだものの、春一番と呼ばれる風には勝てない。



「すごい風だねぇ、髪の毛やばい」



スプリングコートに身を包みながら、桃子が巻いた髪の毛を手ぐしで直す。



「あたし、目にゴミ入ったみたい」



人差し指でまぶたを擦りながら、目を真っ赤にしてるのは真由だ。



「傷付くからあんまり擦んない方がいいよ?」



ハンカチを差し出しながらそう言ったのはありさだった。
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