浮気の定理
「ごめんね?ちょっと映画館から距離あったよね?

こんなに風が強いなんて思わなかったからさ」



一周回って今回はまた涼子のオススメの番だった。



天気予報で晴れのマークを見ていた涼子は、散歩がてら歩くのもいいかとこのビルの七階にある店に決めたのだ。



風にまで気が回らなかったのは自分の失敗だと涼子は申し訳なさそうな顔をする。



「仕方ないよ、雨じゃないだけましだと思わなきゃね?」



桃子が優しく慰めてくれた。



「そうだよ、映画だって良かったんだし、これで食事が美味しければ言うことないない」



ありさはそう盛り上げてくれたけれど、ネットで調べた今日の店に、まだ涼子は来たことがなかった。



それだけに少しプレッシャーがかかる。
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