浮気の定理
ドルチェを食べ終えて、テーブルがコーヒーと紅茶のカップだけになった時。



桃子がおもむろに口を開いた。



「みんなに……報告があるの」



ありさと涼子は息を呑んで桃子の顔を見た。



その様子からいい報告でないことだけは見てとれた。



真由だけがそれほど驚くことなく、目の前のダージリンの紅茶を口に運ぶ。



「雅人さん……のことだよね?」



おずおずと遠慮がちに涼子はそう聞いた。



「何かあったの?
報告ってことは、あれから進展があったとか?」



ありさは正面からぶつかっていく。



彼女らしいといえば彼女らしいけれど、涼子はなんとなくひやひやした。
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