浮気の定理
なにより真由の様子が気になった。



いつもなら真っ先に桃子の心配をするくせに、今日は知らぬ存ぜぬといった様子で、だんまりを決め込んでる。



もしかしたら、桃子の話をもう知ってるのかもしれないと涼子は思った。



桃子はフッと力なく笑って、それからゆっくりと口を開く。



「雅人と離婚することにしたの」



「「……っ!」」



誰もが驚くと思われたその台詞にも、真由だけは動じなかった。



もともと雅人をあまり好きじゃなかったからなのか、それともある程度予測していたことだったのか……



それは涼子にわかるはずもなかった。
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