浮気の定理
その状況を見兼ねたように、それまでだんまりを決め込んでいた真由が、口を開いた。



「いいじゃない、どっちからだって

今はまだ事情を話せるほど、傷が癒えてないってことでしょ?」



桃子を庇うように助け船を出した真由は、ね?と言いながら彼女の肩に優しく手を乗せた。



桃子はコクンと小さく頷いてから、ゆっくりと顔を上げる。



「ごめんね?話せるようになったら、全部話すから……

もう少し待っててくれる?

離婚のことだけは早く伝えなくちゃと思って、言えたけど……

それ以上のことは……まだ……」
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