浮気の定理
ハァ……と大きな溜め息が聞こえた。



隣を見ると、ありさが諦めたように桃子をじっと見ている。



「わかったわよ、もうなんにも聞かない

けど、桃子……、ほんとに大丈夫なのね?

もしこれからまた何かあったとしたら、その時はちゃんと相談しなよ?」



怒りと悲しみの混じったような声で、そう桃子に話すありさは、悔しかったのだ。



ずっと仲がいいと思っていた友達が困っているときに、なんの役にも立たなかったことに……



それ以上に桃子を見て気づいていたはずなのに、手を差しのべることが出来なかった自分に……
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