浮気の定理
だけどそれからが最悪だった。



雅人の一言一言が、私の心をどんどん冷やしていく。



「別の女性と一緒になりたいんだ」


「慰謝料は、無しってことでいいだろ?」


「お互い様だもんな?」



この人はいったい誰なんだろう?



本当に私の好きだった雅人なんだろうか?



こんな男のために、私はあの男に怯えて屈しようとしたんだろうか?



そう思ったら情けなくて涙が出た。



離婚できてラッキーなのは、もしかしたら自分なのかもしれないと思った瞬間だ。
< 301 / 730 >

この作品をシェア

pagetop