浮気の定理
カランと氷の溶ける音がした。



真由が頼んでくれたカクテルは、もうほんのわずかしか残っていない。



「同じものでいい?」



真由がそう聞いてきた。



私は小さく頷いて、残りを全部飲み干した。



「かしこまりました」



少し高めの心地いい声が響く。



夕食を済ませた後に真由が連れてきてくれたのは、ホテルの中にある素敵なbarだった。



真由がこんなお店を知っていることにも驚いたけれど、バーテンダーの男性とすでに顔なじみである雰囲気にもっと驚いた。
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