浮気の定理
ここは廊下の少し死角になっている場所だ。



誰かに見られるのは嫌だったけれど、同時に誰にも助けてもらえない場所でもある。



わざわざここを覗くなんてことは、誰もしないだろう。



「あれは……私には覚えのないことだし……

これ以上しつこくするなら、警察に通報するわよ?」



自分の身に危険を感じて、思いきって賭けに出た。



警察といえば、水落が怯むんじゃないかと思ったから。



けれどその期待はあっけなく崩れ去った。
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