浮気の定理
「おい!大丈夫か!?」



その人の手が私の体を支える。



ふいに抱き締められて、安心したのか涙が溢れた。



「あり…がと……」



「やっぱ、あいつと何かあったんだろ?

お前を守るためにも、俺に事情話してみないか?」



山本が私を抱く腕に力を込めてそう言った。



今まで誰にも言えなかった水落のことを、山本になら話せるかもしれないと、その時初めて思った。



いつも一緒に帰ってくれるからなのか、ピンチに助けに来てくれるからなのか、それはよくわからなかったけれど……
< 319 / 730 >

この作品をシェア

pagetop