浮気の定理
それでも山本は悔しそうに顔を歪ませる。



「いつもなら俺が送っていってたはずなのに、あのとき……なんでだか送るって譲らないあいつに、お前を預けちまった……

俺が送ってればこんなことにならなかったかもしれないのに……ごめんな?」



――あぁ、そういうことか……



彼はそこに責任を感じているらしい。



彼氏でもなんでもない、ただの仲のいい同僚ってだけなのに、お人好しもいいとこだ。



「あれは私が正体なくすまで飲んだのが一番悪いの

だから、山本のせいじゃないでしょ?気にしないで?」



そう、元はといえばあんなことになるまで気がつかないほど酔っぱらった私が悪いんだ。
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