浮気の定理
苛ついたような山本の目が、私を捕らえた。



「なんでもっと早く言わねんだよ!

なんかあってからじゃ遅いだろ?

お前の様子がおかしいから、気をつけて見るようにしてたから良かったようなものの……

今日は二人ともいないのに気づいて焦ったんだぞ?」



怒鳴られて、本当に心配してくれてたんだと胸が傷んだ。



「だけど……あんなやつとそんなことがあったなんて忘れたかったの

誰かに言えば、それが現実なんだって認めることになるような気がして……

それに山本には知られたくなかった……

そんなやつだなんて思われたくなかったから……」
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