浮気の定理
桃子の選択③
それは突然やってきた。
パソコンのメールにあの画像が添付されているのはいつものことだ。
けれどそれは私のパソコンにだけ送られたわけじゃなかったらしい。
同じタイミングで少し離れた席の山本が、眉を潜めてパソコンを見ている。
狼狽えたようにマウスを動かすと、すぐに私の方を見た。
お互いの視線が絡まり、今自分に来たものと同じメールが山本にも送られたのだと確信する。
事情を知ってるとはいえ、あの画像を見られたんだと思うと耐えられなかった。
今まで何ヵ月も私にしか送らなかったものを、なぜこのタイミングで山本に送ったのかわからない。