浮気の定理
確かに山本の言うとおりかもしれない。



だけどもし、山本にまで何かあったら、私は自分を許せなくなる。



それに唯一の味方を失ってしまうかもしれないのだ。



「でも……」



「大丈夫、俺がなんとかしてやるって、言ったろ?」



そう言って山本は私の髪をそっと撫でた。



優しく、こわれものでも扱うかのように……



だからそれ以上何も言えなくなる。



「でも……無茶はしないで?」



最後は山本に任せることを納得したように、そう一言だけ伝えるのが精一杯だった。
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