浮気の定理
こないだの居酒屋の、同じ個室で私は山本と膝を付き合わせていた。



「どんな手使ったの?」



つまみが来るのも待てずに、開口一番そう聞いた。



「だから、任せろって言ったろ?」



山本がそう得意気に言うけれど、こっちの質問の答えにはなっていない。



「何したのか知りたいの

山本がすごいのはわかったから、そろそろ教えて?」



「やっぱ言わなきゃダメ?」



何故か山本は理由をなかなか言いたがらない。



私は余計に知りたくなって、山本を問い詰めた。
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