浮気の定理
雅人のことは本性が見えて、急に自分の中で気持ちが冷めていくのがわかった。



それももしかしたら、真由や山本のおかげなのかもしれない。



水落のことが解決した安堵感で、離婚のことがどうでもいいことのように思えたのは確かだ。



今、雅人が出ていって一人で過ごすあの部屋は寂しくもあるけれど、それ以上にあの苦しい一年から解放された喜びの方が大きい。



あの部屋を出て、また新たな生活が始まれば、ありさや涼子にも笑って話すことが出来るのかもしれない。



自分の中でひとつ区切りがついたような、そんな気持ちになりながら、来月の定例会までには旧姓に戻ろうと私はそっと心の中で決めていた。
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