浮気の定理
映画館までの道程を、桃子と真由はありさに仕事や体調について尋ねながら歩く。



「でももう体調は良くなったんでしょ?」


「また復帰したり出来ないの?」



ありさは困ったような顔で、うんとかそうだねなんて、言葉を濁していた。



いつでも誰にでもそうだけれど、涼子は他人の事情に首を突っ込むのが苦手だ。



きっと、自分が聞かれたくない何かを持っているからかもしれない。



四人で話すときも、誰かの意見をたしなめたり軌道修正することはあっても、自分から突っ込んだことを聞くのが怖いのだ。
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