浮気の定理
「冷たいし、普通のデザートよりは良かったかもね?」



桃子もまた一口食べて、そう言った。



最後に温かいお茶をもらって一息ついていると、桃子がおもむろに口を開いた。



「え~と、このたび晴れて木下から石川に戻りました

みんなには心配かけたけど、今は実家の近くに部屋を借りて一人でちゃんとやってるから」



離婚がきちんと成立したということなんだろう。



心配していたような落ち込みはまったくなく、むしろ晴れやかな顔をしているように見える。



「なんか、清々しい顔してるね?」



涼子が思わずそう言えば、桃子がフッと笑みをこぼした。



「うん、ほんとに清々しいの」
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