浮気の定理
またはぐらかされると思われたその質問に、桃子は少し微妙な表情を浮かべながらもきちんと答えてくれた。



「会ってないからわからないけど……

たぶん、違う人と暮らしてるんだと思う」



初めて、離婚の原因とも言える内容を桃子が話したことに、涼子もありさも言葉を失った。



「あ、でも大丈夫だから気にしないで?

私の中ではもう終わったことだし、今はなんとも思ってないの」



固まった空気をほぐすように、桃子が笑顔でそう付け足す。



ありさは自分が聞いてしまった手前、気まずそうな顔をしていたけれど、やがてそっと口を開いた。
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