浮気の定理
ありさの選択①
同じ沿線の真由と途中まで一緒に帰りながら、私は居心地の悪さを感じていた。
二人になれば、さっきのことを聞いてくるかもしれないと思っていたのに、横で喋ってる真由の話は映画のことばかりだ。
触れてこないなら、わざわざ自分から言う必要もないけれど、さっき自分に向けられた憎悪が忘れられない。
自分でも間違ったことをしてるのはわかってた。
だけど止められない思いもあるんだ、と必死に自分に言い訳をする。
自分のした行為の代償はあまりにも大きくて……
和也にも子供たちにも悲しい思いをさせてしまった。