浮気の定理
「えっ?……なに?」



恐る恐るそう聞き返すと、和也は複雑な顔をして顔を横に振る。



「いや、なんでもない……」



そう言った和也の顔は、なんだかとても悲しそうに見えた。



それからかもしれない。



和也の態度が以前と変わったのは……



一番変わったのは、無理に私を求めなくなったことだ。



加えてゲームばかりしていた彼が、進んで家事を手伝うようになった。



娘たちには前から優しかったけれど、それでも遊んであげる回数が増えたような気がする。



おまけに自分が夜勤のとき、今までしたこともなかったのに、電話で家の様子を聞くようになっていた。
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