浮気の定理
最初は堕胎したことで傷ついた私を気遣ってくれてるんだと思ってた。



私の体調が悪いから、家事や育児も手伝ってくれているんだと……



けれどそれとは違うなにかがあるような気がしてならなかった。



もしかしたら彼とのことを気付かれたんじゃないかとも思ったけれど、もしそうなら和也が黙ってるはずがない。



和也の視線が自分に向いたことは本来なら嬉しいことのはずなのに、後ろめたい気持ちが邪魔をして素直には喜べなかった。



和也が嫌いなわけじゃなかった。



別れたいなんて思ったこともない。
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