浮気の定理
ただ、早くに結婚したせいで、ドキドキするような気持ちに飢えていたのだ。



女として扱ってもらえない寂しさで、自分の理性を失ってしまっていたのかもしれない。



いけないとわかっていながら、優しく抱かれることに憧れて、彼に身を委ねてしまった。



その幸せの代償を受けたあとから、夫に優しく扱われるようになるなんて皮肉なものだ。



けれどこの後ろめたさは自分への罰。



だから、彼とのことは墓場まで持っていこうと、絶対に隠しとおそうと、心に決めていた。
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