浮気の定理
心配のあまり顔色が悪かったんだろうか?



菊地さんは特に疑う様子もなく、心配そうに声をかけてくれた。



「あらぁ、大丈夫?飯島くんといい、風邪流行ってるからね?

わかった、店長にはあたしから言っといてあげるから、上がってもいいわよ?」



「ありがとうございます、すみません」



心の中では、菊地さんごめんなさいと謝りながら、お礼を言って事務所に向かう。



逸る気持ちを抑えて、ロッカーで着替えを済ませた。



店内を通り、レジにいる菊地さんに声をかける。



「それじゃあ、お言葉に甘えてお先に失礼します」



お大事にね?と菊地さんに優しく声をかけられながら、私はそそくさと店を後にした。
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