浮気の定理
「お粥……ですか?」



思わずそう聞き返すと、さっきまで寂しそうだった彼の顔がパァッと明るくなる。



「はい、ゴホッ……はぁ……そう、お粥です

僕、なんにも食べてなくて……

薬、飲むのにも何か……ゴホッ……食べた方がいいんです……よね?」



そう言い終わると同時に、飯島さんの体がふらっと揺れた。



こうして立って話してるだけでも、本当は辛いんだろうと思う。



このまま話を引っ張るのは、彼のためにも良くないかもしれないと私は覚悟を決めた。



「わかりました、お粥……作りますから……飯島さんは寝ててください」
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