浮気の定理
「ケホッ……清水さんが来るって知ってたら……ゴホッゴホッ……もう少し片付けといたんですけど……」



汚くてすみません、なんて謝ってる。



どうやら片付けてくれそうな彼女はいないんだと、ホッとしている自分に戸惑った。



「そんなに咳してるんですから、向こうで寝ててください!お粥、出来たら持っていきますから」



まだ無理して話そうとする彼の背中を押して、そのままリビングから追い出す。



飯島さんは、さっき寝室だろうと予想した部屋へ、諦めたようにすごすごと入っていった。
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